子育て

子供に伝えうるかぎりの愛を伝えること、次の世代に伝えるために。

人は子供ができると考えが変わるといいます。子育てを経験することで守るものができ、それまで利己的だった人も利他的な考え方に変わったりします。

 

少なくとも僕はそうでした。子供が生まれたことで大きく考えが変わり、自分より人のことを考えるようになりました。
それというのも、子供を含めた家族が幸せに暮らすためには、少しでも世の中がよくなってくれたほうがいいと思うからです。

 

自分を良くたいなら、家族を良くする。
家族を良くしたいなら、隣人を良くする。
隣人を良くしたいなら、世の中を良くする。

 

この単純な事実に恥ずかしながら30代にしてはじめて気づきました。

 

 


子を幸せにすることが、未来の世代を幸せにしていく。

自分を良くたいなら、家族を良くする。
家族を良くしたいなら、他者を良くする。

 

このことを子供に伝えるのはどうすればよいでしょうか?

 

僕は、子供に「他人に尽くしなさい」とか「利他的になりなさい」というのはちょっと違うと思います。
これは単なる”指示”であって、子供に「勉強しなさい」と言うのと大差ありません。

 

親のふり見て子供は育つといいます。子供に何かを伝えるなら親がそれを見せること。
だから、親として最大限に子供を愛することが大切なのではないかと思います。

 

親が子に対して最大限の愛を与えることによって、子にもそうした意識が自然と根付くのではないか…。
親から最大限の愛を与えられた子であれば、自然と愛を持って他者に接することができるのではないか…と思うのです。

 

そうして愛を与えられた人間が、また次の世代に愛を与えて伝えていく。そして次の世代がまたその次の世代に愛を伝えていく。
この連鎖反応の最初になることが、今の世代に求められているのではないかと思うのです。

 

 


どのように愛を伝えていくか?

愛を伝えるというと、あまりにも漠然としています。
そもそも愛を伝えるとはどういうことなのか?

 

これについて僕は考えましたが、いまのところ僕自身の結論としては「無条件で存在そのものに感謝する」ということではないかと思うのです。
無条件で存在そのものに感謝をささげることは、この宇宙に生きる者として最も自然なことなのではないかと思うからです。

 

ただ、やっぱり自分が思っているだけでは十分には伝わりません。
だから言葉や態度で精一杯それを子供に伝えていきます。

 

たとえば、子供といっしょに寝るときに絵本を読み聞かせして、消灯したあと子供と今日あったことを話します。
そして、眠る前に「〇〇ちゃん、お父さんとお母さんのところに生まれてきてくれてありがとう」「今日も元気でいてくれてありがとう」と抱きしめて子供の存在そのものに感謝を伝えます。

 

こういう言葉をかけられて育った子は、自分の価値について悩むようなことは少ないのではないかと思います。
そして、愛を受けて育った子は、他者にそれを与えるのが当たり前になるのではないか…とも思うのです。

 

確かに、日本人はこういう言葉を口にするのは苦手だと思います。
でも、こういう言葉を子供にかけてあげられるのは、子供が子供のうちだけです。

 

言葉が無くても伝わるといいますが、やっぱり言葉があった方が伝わるのではないかと思います。
だから、ちゃんと伝わるように子供の存在そのものに感謝を伝えるのです。

 

 


他者との比較や競争で幸せになれるか?

僕は子供が生まれる前、子供に何を伝えればいいのかよくわかりませんでした。
とりあえずいい大学に入って、いい仕事に就きなさいと言うべきなのか…。
そういう方向で子供を教育するのが親として正しいのか…。

 

正直言って僕は疑問でした。

 

僕は10代のころ「いい仕事について、お金を稼げば幸せになれる」と周囲から言われた記憶があります。
果たしてこれは本当でしょうか?僕はいまいち腑に落ちなかったのでこの考え方は当時からぜんぜん響きませんでした。

 

人生の大半をお金を稼ぎに使ってどうなるんでしょうか?

 

人よりいい物を持つのが幸せなのでしょうか。
人よりも広い家に住むのが幸せなのでしょうか。
人よりもいい車に乗るのが幸せなのでしょうか。
人よりも貯金通帳の残高が多ければ幸せなのでしょうか。

 

こうした価値観の根源にあるのは「人よりも自分の方が物質的に良い状態であることが幸せ」というものです。
つまり、他者と自分を比べて、自分が物質的に豊かであれば幸せという話です。

 

だとすれば、物質的に豊かな国で生まれ育った僕は、地球上の大半の人よりも物質的に豊かでいるはず…。
だったら、僕はこの状態に”幸せ”を感じなければいけないはず…なのにそうは思えない。

 

そもそも、この価値観を突き詰めていくといくらでも上には上がいます。
いい大学を出て高い給料の職についたところで先祖代々からの資産を持つ貴族階級や、通貨発行権を持つような金融資本家を超えることはできないのです。
だったら、この価値観の先にあるのは決して”幸せ”にたどり着けない現実なのではないか?

 

こうした理由から、僕には他者よりも物質的に豊かでいることが本当に”幸せ”ということになるのか疑問だったし、今でも理解できていません。

 

断っておきますが、僕はこうした価値観を否定しているのではありません。
人よりもいいモノを持って、広い家に住んで幸せを感じる人がいるのもいいと思います。

 

僕にはそれが”幸せ”だとはどうも思えなかった…というだけのことです。
もしかすると、生まれた時から物質的に豊かだったから、それが”幸せ”であることを理解できないだけかもしれません。

 

ただ、僕は自分自身が理解していない価値観を子供に伝えようとは思いません。

 

だから僕は我が子に「いい大学に入りなさい」とか「いい職に就きなさい」といったことは決して言わない。
ただ我が子の存在に感謝して愛を伝えていくのみです。それが親としての僕が、子供にできる一番のことだと思っています。

 

 

 

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