学びの庭

アンティークコインを貯金代わりに。歴史を楽しみながら有事の対策にも投資にもなります。

日本人は貯金が好き…あなたもそんな話を聞いたことがありませんか?
私の友人にも、お給料をとくに何に使うわけでもなく毎月貯金に回している…貯金が趣味だなんて人もいます。

 

 

かくいう私も、とくに趣味もなく、お金を貯めるのが好きでした。
毎月銀行口座の数字が増えるのを見てニヤニヤする…そんな敬虔なる貯金教徒でした。

 

 

貯金さえしていれば、もし何かあっても大丈夫。とりあえず生きていける…貯金をするとそんな安心感もあります。
けれども昨今、この国をとりまく状況はすこぶる不穏であります。

 

 

米ドルのインフレリスクは年々高まり、今や無視できないところまできてしまいました。
もしもドルに何かあれば…資産の大半をドルで保有している我が国の通貨も無事でいられるとは思えません。

 

 

その穴埋めをするためにある日突然、政府が国民から貯金を取り上げてしまうかもしれません。
まして日本は明治以後、2度も預金封鎖を断行した”前科持ち”の国です。

 

 

はたまた、戦争のリスクだって考えられます。
平和ボケした日本人にとって戦争など別世界の出来事かもしれませんが、日本の近くには核を持った軍事大国が3つもあるわけでございまして、対して日本は核も持たず、おまけに憲法9条によって丸腰同然の状態です。
しかもお隣の大国は軍備拡張を急速に推し進めていて、来年にも3隻目の空母を完成させる予定だとか…。地政学的に見てこれほど物騒な場所が世界にまたとあるでしょうか。

 

 

もし戦争など起これば、日本円の値打ちなど一瞬にして暴落してしまうことでしょう。
そうなったときにコツコツ貯めた貯金は一体どうなってしまうのか…。

 

 

大混乱の中で財産といえるものは紙クズになった日本円のみ…こんな状態で家族を守ることができるでしょうか?
となれば、貯金を現金以外のものに変えたいと思うのは当然の帰結でございます。

 

 

 

貯金代わりにアンティークコインに行き着く

貯金の代わり…つまり現金を別の形に変えてもっておくということでありますが、私もアンティークコインに行き着くまでにいくつか候補を考えました。
まず、真っ先に考えたのは株であります。

 

 

しかしながら、日本円が有事に陥ることを想定して現金以外のものに変えようというときに、株を選択するなどナンセンスというもの。
そもそも、一寸先もわからぬこのグローバル戦国乱世において、株とかいうものはいまいち信用できません。

 

かつてモノ造り大国ニッポンの顔だった、あのパナソニックですらあれよあれよという間に中韓企業との競争に敗れ、今や2流企業に落ちぶれてしまいました。
シャープや東芝にいたってはもう無くなってしまっています。私が株を買ったとして、その会社がいつそうなってしまうかもわかりません。

 

 

そこで私が次に目をつけたのはゴールドであります。しかし、ゴールドもまたレートが激しく変動するため、いささか不安が拭えません。
たしかに株よりも安心感はあります…が、買っても面白くない。
ピカピカの金の延べ棒を金庫に積むのが趣味ならいいのかもしれませんが、私にはどうもそれが楽しそうに思えなかったわけであります。

 

 

どうせなら、安心感と楽しみを兼ね備えたものがないものか…。
金…ゴールドときたら金貨…!そこで私が思いついたのが古い金貨や銀貨はどうか…というものでした。
もともと私は歴史好きでございましたから、欧州の古いコインは当時の王様の顔が彫られていて面白そうだと思ったわけであります。

 

 

 

アンティークコインとは?

アンティークコインとは100年以上前に発行された古いコインのことを言います。
昔のコインには、時の支配者の肖像画が彫られています。歴史の本に出てくる王様の横顔がバーンと彫られている…。
貯金をしながら昔の王様をコレクションできるわけで、これは面白いと思ったわけです。

 

 

どうして昔の王様がコインに自分の顔を刻ませたのか…昔は写真も無く、かといって王様が下々に顔を見せて回るわけにも参りません。
そこで、市中に広く出回るコインというものに自分の顔を彫らせたわけです。そうして下々に己の強大な権力とその顔を知らしめたのですね。

 

 

そんなアンティークコインの一例は、たとえばこうしたコインです。

 

 

 

ナポレオン1世 40フラン金貨


フランス金貨の代表格がこの「ナポレオン金貨」です。2021年現在、状態の良いものは15万円~30万円ほど。極上品は40万円以上で取引されています。

発行枚数が多く、比較的入手しやすいアンティークコインですが、このナポレオン1世の40フラン金貨は最近、市場に出回る枚数がかなり減ってきました。

このコインの肖像「ナポレオン1世」は、言うまでもなくフランス革命の英雄ナポレオン・ボナパルトであります。
彼の金貨はいくつかのタイプが存在し、この写真のものは1811年、フランス皇帝としてのナポレオンのもの。銘も”EMPIRE FRANCAIS”…つまり「フランス帝国」となっていますね。

1811年といえば、欧州大陸を席巻したナポレオンのフランス帝国は大陸封鎖令を出してイギリスを締め上げていた頃で、まさにナポレオンの絶頂期でありました。ゆえにこの年に40フラン金貨は126万枚と最も多く発行されたんですね。
しかし、この翌年のロシア遠征で大敗北を喫し、これがナポレオン帝国の崩壊の引き金となっていくわけです。


これよりも前に発行されたもの…すなわち1806年までに発行されたものはデザインが若干違って、月桂冠を頂いていない肖像が彫られています。

というのも、この直前まで彼はフランス皇帝ではなく大統領だったからなのですね。ゆえに銘も”REPUBLIQUE FRANCAISE”…フランス共和国と彫られております。

また、ナポレオンがエルバ島を脱出して再起を図った、いわゆる”百日天下”の期間に発行された、1815年銘のものは40フラン金貨が存在せず、20フラン金貨のみ発行されました。
おそらく、40フランを発行するほどの余裕がなかったのでしょうね。

 

 

たかがコイン、されどコイン。たかがコイン一枚といえども、これだけ歴史が詰まっています。

 

 

しかも、この小さな金属片には王様たちの威信がかかっていたわけでありまして、ゆえにコインの製造には当代一の職人・技術者が集められました。
考えてみてください、直径わずか数センチの金属片に克明に人の顔を掘るわけです。髪の繊細なライン、頬や首元の微妙な凹凸…これを直径わずか30mmほどの金属片に刻印するわけです。
その技術がいかに卓越したものであったか想像に難くはありません。すなわちコインは貴金属であって、王様の権力誇示ツールであって、同時に一級の美術品でもあるわけです。

 

 

そんな当代一の職人・技術者が腕を振るい、王様が己の威信をかけて作らせた一級の美術品…それは歴史のカケラとも言うべきものです。
しかも、ゴールドやシルバーといった貴金属でできているので、現物として価値は担保されています。株のように無価値になるリスクは全くありません。
そんなものが庶民の給料でも買えるのです。どうせ貯金を何か別のものに変えるなら安心感があるものがいいに決まっている。しかも歴史まで楽しめる。こんなに面白いものは他になかなかありません。

 

 

 

貯金よりも堅実なアンティークコイン

アンティークコインは貯金をするよりも堅実な貯金になります。
こんなことを言うとポジショントークだと思われそうですが、まったく値が崩れないのです。崩れないどころか年々値段が上がり続けている。

 

 

私がこの貯金兼趣味をはじめてから10年余り…2倍3倍の値段で取引されるようになったコインはたくさんあります。
こうなってくると私のような庶民コレクターには辛いものでありまして、最近は1枚増やすのもやっとでございます。

 

 

なぜアンティークコインはこれほど値段が安定しているのか…これは簡単な話で、需給バランスが完全に崩れているからです。

 

 

アンティークコインの主なコレクターは富裕層です。富裕層の皆々様はおカネに困っていませんから、コインを買うと金庫に入れてしまって売り出すことはなかなかありません。
富裕層の方々に買われていったコインたちは、なかなか出てこなくなるんですね。

 

 

対して供給はというと、当然ながら増えることは無いんですね。むかーしむかしに発行されていたコインですから、新たに増えるなんてことはありません。
つまり、供給はすでに現存しているものに限られるのに、買われるたびに市場から一枚また一枚と消えていく一方なのです。

 

 

おまけに近年、世界中で格差が広がる一方で小金持ちの人口が増えておりますので、アンティークコインの需要もまた高まる一方…。
そんな事情でありますから、発行枚数が少ないもの・現存数が少ないもの・状態の良いものは輪をかけて貴重で、中には数千万円、数億円と目玉が飛び出るような価格で取引されるものも珍しくはありません。
アンティークコインのオークションでは、まさに文字通り札束と札束の殴り合い。おカネ持ち同士がコインの分捕り合戦を繰り広げております。

 

 

アンティークコインの中でも絶大な人気を誇る、ヴィクトリア女王の5ポンド金貨「ウナとライオン」。
表面は即位間もない、うら若きヴィクトリア女王の肖像。そして裏面では大英帝国を意味するライオンを女王が従えています。
こちらの品物は鑑定済みの極上品。2021年8月19日に144万ドルで落札されています。日本円にして1億5000万円…。
こうなってしまうと庶民の手に入る代物ではございません…(笑)

出典:Heritage Auctions

 

 

コイン一枚に数億円だなんて信じられないかもしれませんが、これは本当の話なんですね。

 

 

しかしアンティークコインのいいところは、決して富裕層だけしか買えないものではないということです。
数万円~数十万円で手に入るものも多く、そうした安価なコインですら値が崩れない。それどころかやはり昔よりもだいぶ値が上がっている。
これは、やはり供給が増えないことと、コインというものがコレクター商品であることが影響しているのでしょう。

 

 

貯金代わりにするのに、これほど堅実なものが他にあるでしょうか。
私は、個人的には100万円の札束を持っているより、100万円のアンティークコインを一枚持っているほうがよほど安心できます。

 

 

さて、ここまでさらりとアンティークコインについて語らせていただいたところで、今回の記事は終わりにしようと思います。
今後AMOTOでは、この橘がアンティークコインの買い方、買うときの注意点、失敗談などアンティークコインの楽しみ方をお伝えしていこうと思います。
また次回の記事もお読みいただければ幸いでございます。

 

 

 

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